心揺さぶる心理サスペンス『しゃぼん玉』再生の物語

しゃぼん玉 Audible版 - 乃南 アサ

心に響く再生の物語、あなたの常識が揺さぶられる!

『しゃぼん玉』は、乃南アサによる見事な心理サスペンスです。この本は、本当に心の奥まで響く作品で、私が読み終えた後、深く考えさせられました。まず、主人公の伊豆見翔人は23歳で無職、そして強盗やひったくりを繰り返す犯罪者です。彼がうっかりして起こしてしまった犯罪は、ただのミスでは終わらず、女を刺してしまうという取り返しのつかない事態に発展します。逃走の最中、山奥の村に迷い込んだ彼は、そこで一人のお婆さん、おスマ婆さんに拾われます。この出会いが、物語の鍵となる重要なポイントです。

山奥の村での生活が始まると、翔人は村人たちの無垢で温かい歓迎を受けます。その瞬間瞬間がとても心に染み入り、この村での短い庇護生活が彼の心にどんな変化をもたらすのか、読み手としても興味を引かれました。しかし、彼の内面には常に「いざとなったら」「盗んで」「殺しても仕方がない」という葛藤が存在します。ここでの巧みな心理描写が、読者に主人公の苦悩や迷いをよりリアルに感じさせ、物語に一層の厚みを持たせます。

この本の真骨頂は、この対極的な二面性を巧みに織り交ぜたストーリーテリングです。翔人が村での平穏な生活を送りつつも、心の奥底には常に犯罪者としての恐怖や疑念が影を落とします。しかし、おスマ婆さんとの触れ合いや村人たちとの関わりを通じて、彼の心に少しずつ変化が訪れます。それはまるで、彼の中で新たな自己が目覚め、再生への一歩を踏み出す瞬間を見るかのような、感動的な描写です。

そして、「今から諦めちょったら、残りの人生、どぎゃんすっと」というセリフが響きます。これは、おスマ婆さんが翔人に対して投げかけた言葉で、彼の心に強いインパクトを与えました。これをきっかけに、彼自身が人生や未来に対してどのように向き合うのか、読者としても非常に感情移入しやすい展開です。

この本を通じて、誰しもが持つ心の葛藤や罪の重さ、そして再生の可能性について深く考えさせられます。一度読み始めると、物語の終わりまで引き込まれること間違いなしです。心理サスペンスの要素も強く、最後までドキドキしながら読むことができました。まだ読んでいない方には、ぜひとも手に取ってほしい一冊です。

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