『アフターレッスン』由紀かほる|「その後」に待っている、誰にも言えない関係

本のタイトルを見て、「これはどんな話なのだろう」と思うことがあります。

由紀かほるさんの『アフターレッスン』も、そんな作品のひとつです。

タイトルだけなら、学校や習い事を思わせる、どこか静かな印象があります。

ところが、物語の中心にいるのは、教師の中條美穂と、その教え子である高塚那知

この二人の間に起こる出来事が、物語を大きく動かしていきます。

しかも、この作品で興味深いのは、二人だけの問題として終わらないところです。

那知の父親は、美穂の夫の上司。

さらに、それぞれに家庭があり、学校での立場もあります。

つまり、ひとつの出来事が起きたとき、それによって影響を受けるのは当事者だけではありません。

夫婦としての関係。

親子の関係。

教師と生徒という立場。

そして、普段なら何気なく接している周囲の人たちとの関係。

そうしたものが複雑に絡み合っていきます。

「教師と教え子」という関係から始まる物語

美穂は教師です。

教師である以上、生徒との間には当然、越えてはいけない一線があります。

ところが、この物語では、その一線を意識せざるを得ない出来事が起こります。

ここが『アフターレッスン』という作品を読むうえで、ひとつの大きなポイントになりそうです。

「もし自分が美穂の立場だったら、どうするだろう」

そんなことを考えてしまうような状況です。

しかも、簡単に誰かに相談できるわけではありません。

話せば、学校だけの問題では済まなくなる。

家庭にも影響するかもしれない。

相手の家庭との関係もあります。

そう考えると、ひとつの出来事をきっかけに、美穂の日常そのものが少しずつ変わっていくことが分かります。

人間関係が重なっているからこそ、先が気になる

恋愛小説というと、男女二人の関係を中心に物語が進んでいく作品を思い浮かべることもありますよね。

『アフターレッスン』の場合は、それだけではありません。

美穂と那知だけを見るのではなく、その周囲にいる人物まで含めて見ることで、物語の構図が見えてきます。

特に、那知の父親が美穂の夫の上司であるという関係は、二人の間に起きたことを考えるうえで無視できません。

普段なら何気なく続いている人間関係が、ある出来事を境に、まったく違った意味を持ってくる。

こういう設定は、続きを知らない状態で聴くからこそ面白いところがあります。

「このことを誰かが知ったら?」

「美穂はどうするの?」

そんな疑問を抱えながら、先へ先へと進みたくなる作品です。

ただし、ここから先の具体的な展開については書きません。

物語の中で何が起こり、二人の関係がどうなっていくのか。

そこまで先に知ってしまうと、実際に聴いたときの面白さが減ってしまいますからね。

大人向けの恋愛小説として

由紀かほるさんの作品は、Audibleでは「しなやかで、かつ力強い描写」で綴られる官能の世界として紹介されています。

『アフターレッスン』も、単純に爽やかな恋愛を楽しむ作品というより、人には簡単に話せない関係や、そこから生まれる感情を描いた大人向けの作品として見ると分かりやすいと思います。

もちろん、刺激的な場面だけを目的に読むこともできるでしょう。

でも、それだけで終わらせてしまうと、少しもったいないようにも感じます。

教師と教え子という立場。

夫婦という関係。

親子という関係。

それぞれの立場を考えながら読むと、同じ出来事でも違った見え方をするのではないでしょうか。

大人になってから読む恋愛小説は、若い頃とは違うところに目が向くことがあります。

「好き」という気持ちだけでは片づけられない事情。

誰かを傷つけたくないという思い。

自分自身の気持ちを抑えようとする気持ち。

そうしたものが重なったとき、人はどんな選択をするのか。

そのあたりも、この作品を聴くときに気になるところです。

Audible版で楽しむなら

『アフターレッスン』のAudible版は、水野なかさんの朗読です。

再生時間は9時間57分

2020年9月7日に配信された完全版となっています。

約10時間の作品なので、短時間で読み終えるタイプの作品ではありません。

家事をしながら。

移動中に。

夜、少しゆっくりできる時間に。

Audibleなら、そんな日常の時間を使って物語を楽しめます。

特に、こうした人間関係を中心に展開する作品は、少しずつ聴きながら「今日はここまで」と区切る楽しみ方もできそうです。

次に聴くときには、前回の続きが気になる。

そんな作品なら、長めの再生時間もそれほど気にならないものですよね。

こんな方なら、気になるかもしれません

『アフターレッスン』は、単純な恋愛だけではなく、複雑な人間関係の中で揺れる登場人物を描いた作品を読みたい方に向いていそうです。

特に、

  • 大人向けの恋愛小説が好き
  • 官能的な恋愛作品を楽しみたい
  • 教師と教え子という関係を扱った物語に興味がある
  • 登場人物同士の関係が変化していく作品が好き
  • Audibleで長めの作品をじっくり楽しみたい

という方なら、作品紹介を読んだ段階でも興味を持つのではないでしょうか。

まとめ

『アフターレッスン』は、教師の中條美穂と教え子の高塚那知を中心に、一つの出来事から、それまでの人間関係が大きく揺らいでいく物語です。

学校だけではありません。

夫婦、親子、上司と部下、そして教師と生徒。

いくつもの関係が重なっているからこそ、簡単には先を読めません。

詳しい出来事やその後の展開については、ここではあえて書きません。

この記事では「どんな作品なのか」を知るところまで。

その先に何が待っているのかは、実際に作品を聴きながら確かめてみる。

そんな楽しみ方が合っている作品だと思います。

水野なかさんの朗読で、約10時間。

時間をかけて、大人の恋愛小説を楽しみたいときに、候補に入れてみてもよさそうな一作です。

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